『スタッフエンジニアの道』Tanya Reilly 著

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『スタッフエンジニアへの道』を読んだ。

スタッフエンジニアの道
キャリアアップを目指すシニアソフトウェアエンジニアには、2つの異なる道があります。一つは、管理職への道。マネジメントスキルを磨き、チームや組織を導く道です。この道については、多くの研究がなされ、スキルを向上させるための書籍も数多く存在します。もう一つは、技術専門職の道。エンジニアリングのスキルを極め、専門性を深めていく道です。近年、技術専門職のキャリアパスを用意する企業は増えてきているものの、まだ明確な指針が確立されているとは言えません。 本書は、技術専門職としてのキャリア成長に必要な考え方やスキルを詳細に解説します。上級技術専門職に求められる役割、大局的な視点を持って自らの仕事に取り組む方法、大規模プロジェクトを成功に導く手法、自身の専門性を深めながらチームメンバーの成長を支援する方法を学びます。 技術専門職としてのキャリアを目指すエンジニア必携の一冊です。

似たような本で『スタッフエンジニア - マネジメントを超えるリーダーシップ』と『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』を読んだことがあった。それぞれ、今回読んだ本でも紹介されており、この本もこれらと系統は似た本だった。

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エンジニアのためのマネジメントキャリアパス
本書は、技術系マネージャーとそれを目指すエンジニアに向けて、IT業界の管理職に求められるスキルを解説する書籍です。テックリードからCTOになった経験を持つ著者が、管理職についたエンジニアが歩むキャリアパスについて段階をおって紹介します。インターンのメンターから始まり、テックリード、チームをまとめるエンジニアリングリード、複数のチームを管理する技術部長、経営にかかわるCTOやVPと立場が変わることによって求められる役割について、それぞれの職務を定義しながらくわしく説明します。 さらに管理職の採用や評価、機能不全に陥ったチームの立て直し、管理職についてからの技術力の維持など、様々なハードルを乗り越えるための考え方やテクニックを多数紹介。技術系管理職の全体を視野に入れ、各段階で必要なスキルを学ぶ本書は、マネジメントのキャリアを志すエンジニア必携の一冊です。

でも、それぞれで少し毛色が違う感じはある。『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』は副題にあるとおり、テックリードから CTO まで、職位ラダーの中で求められる・身につけるべきマネジメントスキルや経営レベルでのスキルが書いてある。

『スタッフエンジニア - マネジメントを超えるリーダーシップ』の方はより実務的な視点でスタッフエンジニアとしての職務について書かれている。本書はスタッフエンジニアについて書かれているけど、もう少し柔らかい感じ。よりエッセーに近いかなと思った(公式サイトでの分類も Essay だし)。より人間味のある視点で書かれていて、読みやすく『スタッフエンジニア - マネジメントを超えるリーダーシップ』よりは自分に合っていたかな。

シニアエンジニアとは

スタッフプラス(スタッフエンジニア以上の職位)の前に位置するシニアエンジニアについて、

「昇進するのを止め、現在の生産性、能力、アウトプットのレベルをキャリアの残りの期間継続しても後悔のないレベル」

という定義が紹介されていたけどこれはしっくりきた。正直なところ、今の自分はこの域に達している感覚はあるな。まぁ15 年近くずっとソフトウェア開発やってるしね。その間、ちゃんとしたマネジメント職につくこともなく、ひたすらコード書いてたから。別に、今の状態に満足してるわけではないが、これ以上の職位にいけなくても後悔はないのかもしれない。

スタッフエンジニアの仕事

以前のブログでも書いたけどスタッフエンジニアって、お金と人の管理はしてないんだけどやっぱりミーティングが多くなったり、いろんな人を説得・根回ししたり、組織横断の仕事は多くなるんだよね。もちろんそういう仕事を期待されてるわけだからやりたくないならなるべきではない。技術力だけでなく、信頼感やコミュニケーション力などがあるからこそ、会社はスタッフプラスの職位を与えて仕事してほしいするわけでね。

でも、やっぱ Individual Contributor の職位ラダーの上にはあるんだけどけっこう日々の仕事は変わるよねっていうのはあるよな。そこらへんは Google の morita さんも書いてたし。

そして最近も重要性の高そうな緊急プロジェクトのミーティング議事録が流れてきた。そこにはたしかにチームの Staff-plus たちが召喚され意思決定している。が、緊急度高すぎて近づきたくねー。しかも AI (action item) がひたすら stakeholder に話をして合意を得るだとか実際に実装する担当者を探すだとか、そんなのばっかり。やだよ・・・。この本にも "Present to executives" というセクションがあるけど、そんなの上司や PM に押し付けて逃げる以外にどうしろというんだ。
https://anemone.dodgson.org/2021/05/10/staff-engineer/

自分は別にコードだけ書いていたいとは思わないけど、そういうの大変だよなーと尻込みしちゃうし、そういう意味でやっぱりスタッフエンジニアになりたいかっていうと、うーん…。でも、それはそれでこの本の意図しているところというか、ミスマッチを起こさないことも目的の1つだとは書いてあった。それに「職位ラダーはいったりきたりしてもいいんだよ」とも書かれていて、もしかしたらもう少し子育てが落ち着いてきたらやる気になるかもしれないし。

ただ、スタッフプラスになろうと思わなくても、この本に書かれたことを実践するのはとてもよいことだなと思ったね。普通の雇われソフトウェアエンジニアの一人としては、こういうスキルはちゃんと持ってると強いよなーと思ったし、仕事上のツールセットとして身につけておくといいね。それに、自分の満足感として質の高い仕事はしていきたいし、「こういうところ自分直した方がいいな」と感じたところもあったから読んでよかったとは思う。

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どうでもいいけどこの著者、今は Datadog の Principal Engineer なんだね。Datadog 毎日お世話になってます。。。

Tanya Reilly - Datadog | LinkedIn
Engineering-wide technical vision and strategy, architecture, platforms, engineering… · Experience: Datadog · Education: Dublin City University · Location: Albuquerque · 500+ connections on LinkedIn. View Tanya Reilly’s profile on LinkedIn, a professional community of 1 billion members.

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2026Q1

気が付けば今年もあっという間に3か月が過ぎてしまった。 転職した 1月から新しい会社に勤めてる。転職といいつつ社内制度を利用したグループ会社への転籍だから、世間一般の「転職」とはだいぶ違うかな。知り合いもそれなりにいる。でも、雇用契約は巻き直しだったので公的には転職。健康保険組合も変わって、一時的にマイナ保険証が使えなくて不便だった。オフィスが違うからなのか、文化もけっこう違うし環境の変化はそれなりにあった。 転籍した理由はいろいろあるけれど、40歳目前にしてそろそろソフトウェアエンジニアとして錆びてくる部分が出てくるなと思っていた。それに抗うための一番の方法は環境を変えることだと思った。会社を変える方法以外にそれを回避する手段はあったのだろうけど、会社を変えるのが一番効率のいい手法だと思ってるし、これまで経験もそれを肯定していたから。とはいえ、子育て中のサラリーマンが全く知らない新しい会社に飛び込むのはいろいろとハードルが高く、ある程度は転職先の状況が読めるこの形に落ち着いた。 いくつか変化はあったが、より AI に近いところで仕事できるようになった。前職でも AI は使っ

2025年の冬

今年ももう終り。読んだ本などのメモ。 『三体0【ゼロ】 球状閃電』 三体0【ゼロ】 球状閃電 (ハヤカワ文庫SF) | 劉 慈欣, 大森 望, 光吉 さくら, ワン チャイ | 中国の小説・文芸 | Kindleストア | AmazonAmazonで劉 慈欣, 大森 望, 光吉 さくら, ワン チャイの三体0【ゼロ】 球状閃電 (ハヤカワ文庫SF)。アマゾンならポイント還元本が多数。一度購入いただいた電子書籍は、KindleおよびFire端末、スマートフォンやタブレットなど、様々な端末でもお楽しみいただけます。このブランドからフォロー これまでに三体シリーズの Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ はすでに読んでいて、また三体っぽい重めの雰囲気の小説が読みたいと思っていたところ、三体シリーズの前日譚という触れ込みで Amazon のおすすめに出てきたから手に取ってみた。 著者は三体シリーズと同じ劉慈欣。出版の時系列としては、原著は劉慈欣が三体を執筆する直前に出版されていて、三体の人気があって日本語訳が最近になって出版された。原著のタイトルは「球状閃電」であり、

2025年の秋

いつのまにか11月になっていた。今年もあと一月しかない。読んだ本を書いていく。 『すごい物理学講義』 Amazon.co.jp: すごい物理学講義 : カルロ・ロヴェッリ, 竹内 薫, 栗原 俊秀: 本Amazon.co.jp: すごい物理学講義 : カルロ・ロヴェッリ, 竹内 薫, 栗原 俊秀: 本Amazonのストアでお買い物 ›フォロー 前の記事で少しふれた最新の理論物理学の本。ちゃんと最後まで読んだ。 著者はループ量子重力理論の研究者。本の内容は、古典力学、電磁気学、相対性理論、量子力学を経て量子重力理論に至るまでの解説。最初の章では古代ギリシアの原子論についても触れ、「最新の理論物理学的の視点で見ると、その時代の世界の捉え方はいい線いってた」みたいな話も。電磁気学、相対性理論、量子力学、それぞれについての解説本は軽く読んだことはあるけど(Newton とかね)、理論が発展してきた流れを知ることができてよかった。 この本の中でキャッチーなのは「第7章: 時間は実は存在しない」のところで、ループ量子重力理論では時間を扱うことなく理論を構築することができる、

2025の夏

月に一本はブログを書きたいから最近のできごとを書いておく。まとまりはないが書かないよりはよい。本当は8月中に投稿したかったけど、9月になってしまった。 『因果推論の科学 - なぜ?の問いにどう答えるか』 因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか | ジューディア・パール, ダナ・マッケンジー, 松尾 豊, 夏目 大 |本 | 通販 | AmazonAmazonでジューディア・パール, ダナ・マッケンジー, 松尾 豊, 夏目 大の因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか。アマゾンならポイント還元本が多数。ジューディア・パール, ダナ・マッケンジー, 松尾 豊, 夏目 大作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。また因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるかもアマゾン配送商品なら通常配送無料。Amazonのストアでお買い物 ›フォロー 夏前から読んでた本。 因果推論という新しい統計的手法を解説した本。この分野の潮流として、「ドナルド・