2025年の秋・冬
いつのまにか11月になっていた。今年もあと一月しかない。読んだ本を書いていく。
『すごい物理学講義』
前の記事で少しふれた最新の理論物理学の本。ちゃんと最後まで読んだ。
著者はループ量子重力理論の研究者。本の内容は、古典力学、電磁気学、相対性理論、量子力学を経て量子重力理論に至るまでの解説。最初の章では古代ギリシアの原子論についても触れ、「最新の理論物理学的の視点で見ると、その時代の世界の捉え方はいい線いってた」みたいな話も。電磁気学、相対性理論、量子力学、それぞれについての解説本は軽く読んだことはあるけど(Newton とかね)、理論が発展してきた流れを知ることができてよかった。
この本の中でキャッチーなのは「第7章: 時間は実は存在しない」のところで、ループ量子重力理論では時間を扱うことなく理論を構築することができる、という話。「時間の流れ」とは私たちが「上」や「下」と言っているものと同じで、世界を表す便利な概念でしかないという話。私達は「上」や「下」という概念を使うけど、実際には「地球の重力が効いている向き」を表す単語でしかなく、物理量ではない。同様に、ループ量子重力理論では「時間」も物理量ではなく、私たちが生活するために使っている便利な概念でしかない。
では、わたしたちが「時間」と感じるものは何か?という話があり、それは世界のエントロピーの増大をそう表現しているのでは?というのがループ量子重力理論の提唱する話。エントロピーが増大する非可逆な変化を「時間」と感じているのではないか。この点はまだ予想の域を出ないようだけど、物理学と情報理論・熱力学が繋がっていくのを見ると心が熱くなる。
小学生の頃、一度は「時間ってなんだろう」ってみんな考えると思うし、なかなかおもしろい本だった。世界はマクロには連続的だけどミクロでは離散的である、という話も興味深かったな。ただ、途中から基本的に「よく分からん」と思いながら読んでいて、ちゃんと内容を理解することは完全に諦めてしまった。たまに図が出てくるけど、この図でイメージできる人はもう完全に数式まで理解してる人だと思った。↓の図、素人で理解できる人いるのかしら。。。

『いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学』
行動経済学の本。一年前くらいに買ったけど積んであった。
「時間がない」、「お金がない」のようなリソースが足りない状態を “欠乏(Scarcity)” と定義し、人の行動や意思決定にどういう影響を与えるかを書いた本。端的にいえば「欠乏状態はある種の集中状態を作り人の能力を大幅に高める。ただし、集中の対象外への能力は大幅に低下する」というのが結論。誰もが経験するであろう、期限間近のレポート作成にすごい集中できたが、ミーティングをすっぽかしてしまった、のような話を学術的な側面から論じる。
「欠乏状態」での行動や意思決定は長期的に破綻することが多い。そのため「欠乏状態」にならないため「スラック(余裕)」を持つことを推奨する。借金をしないために貯金をする、締め切りに追われないためにスケジュールに余裕を持つ。これを個人の気質のせいにしないところにこの本の意義があったかな。貧困にあえぐ国の農民の行動を研究すると、社会的な構造自体にスラックを持てない原因がある。すなわち、その社会構造を変えることで貧困を防ぐことができるかもしれない、そういう話があった。
あとは、欠乏と書くとネガティブだけど、冒頭に書いたように人間の能力を高める側面があることを忘れてはいけない。「金銭的に欠乏状態(貧困)にある人の方が、経済学的な合理性に沿った行動を取る」という研究結果があったりする。具体的には「富裕層は1ドルを無駄にすることが多い。逆に貧困層はちゃんと1ドルの価値を判断して使う」という話で、まぁそりゃそうでしょって話なんだけど。
内容としてはおもしろいが、本としての出来はあんまりよくないのが正直なところ。社会的な貧困を無くすような話もありつつ、ただの自己啓発のようなレベルの話もあって話題がぼやけている。同じ話が何回も出てきて、構成もあまりまとまってない。きちんと研究結果としてまとめる意味はあるが単なる読み物としては中途半端で、Wikipedia にも同じようなことが書いてあった。
行動経済学も最近は特に目新しさも感じないし、これも10年くらい前の本でそんな雰囲気だよな(?)と思った。自己啓発本としては、結局「スラック(余裕)」が大事ですよねで終わってしまうし、その具体策も特に語られないし、だったらそれに特化した自己啓発本を読んだ方がいい。公共政策とかに興味があれば読んでみてもいいかも、くらいな感じでした。
『コンピュータシステムの理論と実装』

プライベートと仕事がいろいろと忙しくようやく4章の機械語が終わったところ。なんとか今年中に「第一部:ハードウェア」は終わらせたい!という決意表明をしておく。